（記事執筆=山下賀子先生/神奈川県立S高校）
『手と目で覚えるハングルレッスン』韓惠景著、国際語学社。
表紙に「子どもから大人まで楽しくハングル文字が学習できる」とある通り、なぞり書きやゲームを通して楽しくハングルを勉強できる本です。「読める・書ける・発音できる」ことを目的として作られているため、文法には触れず、会話も一言会話が13ページあるだけ。文字学習に特化した教材です。
ハングル入門の授業で教科書と併用したところ、生徒たちは楽しそうにハングルを書く練習をしていました。教科書だけで数回書いただけでは覚えられない生徒もこちらで書く練習や読む練習をすることで、無理なく反復練習ができたと思います。
日本語にはない母音や子音を書き表す工夫もあります。例えば오は「お」우は「う」ですが、어は「お」으は「う」と覚えます。가は単語の頭にくる場合「か」で、単語の中に来る場合「が」、카は「かh」、까は「っか」と覚えます。そのため発音記号が読めない生徒でも、この本の形式でかなをふれば、かなり正確な発音でハングルを読めるようになりました。
ただ惜しい点は、CDがついていないため一言会話のページを模範的なイントネーションで読むことが難しいことです。そして、「日本人にやさしい」あいうえお順になっているため、カナダラ順を覚えられず、日本語にない発音が後回しになってしまうところも惜しい。
それでも多くの生徒がハングル学習の助けになったのは事実です。教科書で習った文字のおさらいや、文字を一通り学習した後に夏休みの宿題などとして出すのによいかもしれません。