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  • 執筆者の写真JAKEHS EAST

授業のヒント

更新日:2020年3月20日

(執筆=原田智津子/秋田県立能代松陽高等学校)


公立高校で韓国語を教え始めて17年になりました。途中、韓国語がない学校もありましたが、ありがたいことに14年間は授業をもつ機会に恵まれてきました。商業科目の一部、選択授業、選択必修など、形はさまざまですが、ここ数年、自分の授業スタイルを徐々に確立させつつあります。


記事執筆の機会をいただいたので、これまでの実践の中からやってみて良かった活動・定着率が高かった活動などをいくつか紹介したいと思います。すでに知っている、もしくは実践している先生方も多いと思いますが、少しでも参考になればうれしいです。


①一言フレーズ

 毎時間1つずつ、日常会話ですぐに使えそうなフレーズを紹介しています。「かわいい」「もしもし」「ありえない」「なるほど」など、まだ韓国語をほとんど学んでいなくても、つい日本語の会話に混ぜて使いたくなるようなフレーズを選んでいます。また韓流ドラマが好きな生徒もいるので、ドラマでよく聞くものも取り入れています。


 その日のフレーズを紹介する前に、フラッシュカード方式でいくつか前時までの復習をするので、生徒によく定着しています。


私「この単語は実はこういう意味だよ」生徒「그렇구나」や、私「来週小テストを行います」生徒「말도 안 돼」のように授業中にさっそく使う生徒もいて、楽しく使っているようです。


 昨年最も生徒がよく使ったのは「내말이」です。最近若い人は同意するときに「それな」という言葉を使うようで、生徒にヒットしたようでした。


②文化に関するクイズ

 韓国語を選択したものの、どうしても外国語は苦手…という生徒も必ずいます。授業では文化・歴史・地理・社会についても知ってほしいため、毎時間1つずつクイズを出題しています。この部分は日本語なので、苦手な生徒も安心して参加しています。「韓国独自の電化製品は?」「チュソクのときはどんな餅を食べる?」などという4択クイズで、必ずどれかに手をあげさせ、正解者にはハングルのついたシールをあげています。挙手の前には相談する時間も設けており、3年生にもなると以前のクイズの答えを根拠に正解をめぐって友達と議論をしている生徒もいます。高校生にシールは幼稚かな?と初めは思いましたが、意外と喜んで「감사합니다!」といってシール台紙に貼っています。2年間で正解50個を目指そうと、毎回生徒は大盛り上がりです。


③数詞定着のための活動

 当初は、数詞をいかに授業の中で定着させるか、そして活用させるかが課題でした。授業で繰り返し練習するといっても、1人で1~10までを練習してもおもしろくありません。


 そこで生徒を動かして練習する時間を設けました。まず生徒全員を黒板前に集めます。黒板には数字のカードを貼ったままで、自信のない生徒はチラッと見ることもできます。その状態で、ひたすら色々な順番で生徒を並べ替えます。例えば、身長順・誕生日順・前年度の組番号順、など。並べたら、1~10を1人1つずつ順番に言わせます。私はテンポよく数字が出るように、リズムをとりながら生徒を励まし、最後の生徒までいったらまた戻ります。


 必ず全員が声を出すこと、色々な数字を言う機会があること、誕生日を確認する際などは普段交流のない生徒同士でも話ができること、飽きっぽい生徒がノリノリで参加すること、などいつもと違う生徒の様子を見ることができます。漢字語・固有語どちらの際も、この方法を使っています。


④月日、曜日、時間

 数詞定着のための活動として、毎時間授業の最初に「오늘이 몇 월 며칠입니까?」、ついでに「오늘이 무슨 요일입니까?」などと聞いて全員に言わせています。これは中学校で英語の教育実習をした経験をもとに始めました。曜日に関しては、必ず同じ曜日しか出てこないので、昨日は?明日は?というふうに徐々に覚える範囲を広げるようにしています。


⑤Baskin-Robbins 31ゲーム

 漢字語数詞を定着させるためのゲームです。1から順番に数字を言うのですが、1人3つまで言うことができ、最終的に31を言った人が負け、というルールです。これを4~5人くらいずつのグループで、メンバーを変えながら何回か行います。数字導入後1ヵ月ほどは、ウォーミングアップをかねて授業の最初の方でやっています。クイズと同じように得意・苦手にかかわらず、お互いに協力しながらゲームを楽しむため、定着率がとてもいいです。また31までなので、毎時間今日の月日を確認するときもスムーズになります。ちなみに韓国語の成績はまったく関係なく、なぜか毎回負けてしまう人もいておもしろいです。


 自分の授業の工夫を書こう!と思ってパソコンに向かいましたが、書いてみると当たり前のことばかりのような気がします。私は英語も担当しているため、そちらの指導法を参考にすることもあります。結局、言語を学ぶということは地道な練習に尽きるのでしょう。単調な練習をいかに楽しく主体的に取り組ませるか、が難しくもありやりがいを感じることなのだなと、今回の執筆を通して実感しました。これを機に、様々な先生方との交流が生まれると大変嬉しいです。お読みいただき、ありがとうございました。


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